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ignore your perspective 38

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ご案内

関係各位

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 児玉画廊(白金)では9月22日(金)より10月21日(土)まで、ignore your perspective 38「Transient Color」を下記の通り開催する運びとなりました。佐藤克久、品川はるな、武田真利絵の3名による、色彩の在り方についての問いに主題を置いた展示構成を致します。
 
佐藤克久
絵画を制作する上で、色を並べ、線を引く、それが単純な形であればあるほどに難しく、わずかばかりの狂いが全てを破綻させかねません。佐藤の作品には、さりげない佇まいの中にこそ突き詰めた思考が潜んでいます。色彩をどう組み合わせるか、線は、ストロークは、画材は、キャンバスを張る際のテンションや折り目一つに至るまで、それが作品に必要と思われるならどんなに瑣末な事柄でさえも思慮に入れながら絵画とは何かと自問しています。近年では主に平面作品の発表が中心ですが、時にキャンバスの矩形をも逸脱して、キャンバスシートと厚紙による半立体的なアプローチの作品や、木片や木枠を支持体にした色彩が空間に配置されていくインスタレーションなど、様々な試みを絵画の思考実験として制作しています。今回の展覧会では、あいちトリエンナーレ(2016年)で初作を発表した、その時々の展示スペースに則して着彩した規格木材を組み合わせた設計によって空間構造に対して柔軟に嵌まり込んでいくようなインスタレーションを展示します。加えて、最新作を含む児玉画廊未発表のペインティングによって構成します。平面作品とインスタレーションの相関によって、絵画の、そして色彩の在りようについての考察、その一端を示します。

品川はるな (初紹介)
キャンバスに塗り広げたアクリル絵具の色面を画面から文字通り剥ぎ取り、捲り上げることによって色面構とする「Peel off the paint」シリーズ、あるいは、何色もの絵の具を積層しつつ固形化しまるで鉱物のように加工した作品、色紙をランダムにちぎって分厚い辞書ほどの枚数を一体に貼り合わせたものを壁面から突き出すように展示する作品など、品川の作品は色彩を単なる色としてではなく物質として取り扱う事によって、絵画というものに隷属する一要素に過ぎないものから、自律するマテリアルへと変容させようとしています。今回の展覧会では、絵具というメディアについて、あるいは色彩の容態についてのヴァリエーションを最も多角的に考究する作家として、他の二名の間にあって触媒的な役割を担います。

武田真利絵(初紹介)
端的に「Paint」と題されたインスタレーション、一見、端正な黒いキューブの構造体に基本色の赤、青、黄の色彩をワンポイントだけ施した静かでシャープな作品に見えます。より意識を傾けて作品を注視しなかったとすれば、大方の感想は「色彩について何某かを言及する作品」以上のものにはならないでしょう。しかし、「Color」ではなく「Paint」と敢えて冠する通り、着彩されただけかに見える赤、青、黄色の部分は実は極端に安定しているために止まって見えているものの、絵具の流体であるのです。その点に気付いた瞬間、色彩は俄かに静から動へと位相を反転させ、黒い外観は内側に絵具が巡り続けているであろう何らかの機構を隠すブラックボックスと化します。

 3名の作品から特に色彩についての側面に焦点を当て、絵画からインスタレーションまで様々な枠組みにおける色彩のあり方の可能性について考察します。それぞれの作品を媒介に色彩が所在を求めて移ろい、空間を彷徨うに応じて、それを鑑賞する側に立つ我々もまた、固定観念を離れ、視線と思考を巡らせて漂う色彩を追尾捕捉せねばなりません。つきましては、本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

敬具
2017年9月
児玉画廊 小林 健




記:

展覧会名:

イグノア・ユア・パースペクティブ38「Transient Color」

出展作家:

佐藤克久/品川はるな/武田真利絵

会期: 9月22日(金)より10月21日(土)まで
営業時間: 11時-19時 日・月・祝休廊
オープニング: 9月22日(金)午後6時より


お問い合わせは下記まで

児玉画廊
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15
T: 03-5449-1559 F: 03-5421-7002
e-mail: info@KodamaGallery.com 
URL: www.KodamaGallery.com


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